REPORT8 特別インタビュー 電話応対の品質を高める技術スキルと対応力アップの工夫
電話対応に求められる「技術スキル」と「対応力」。その品質を高めるための仕組みづくりとは。
全国の相談員に向けた情報共有の仕組みづくり
家永 祐子 森川 亜紀子

お客様相談センターの東日本相談室では、今以上に顧客満足(CS)を高めるために、「技術スキル」と「応対力」という2つの方向性から”サービスの質の向上”に取り組んでいる。まずは、「技術スキル」について、技術・業務スキルサポートグループおよびナレッジ推進グループの家永祐子副参事に聞いた。

「私たちが目指しているのは“お困りコールの撲滅”と”一発解決力の向上”です。”お困りコール”とは、電話を受けた段階で解決できた問題なのに、相談員が問題を見つけることができずサービス員が訪問することになってしまうような応対のことです。たとえば『テレビが映らない』というお問い合わ せをいただいたとき、実はテレビの主電源が入っていなかっただけのことがあります。それだけなら電話で確認できたことなのにサービス員が訪問すれば、お客様のお時間も余計にいただくことになりますし、我々にとっても無用なコストがかかることになります。そういった無駄をなくしお客様にもご満足いただくため、電話で解決できるものは1回で解決することを目標としているのです」(家永副参事)

そのための取り組みとして、これまでの故障診断や発生しがちなお困りコールの事例をまとめて検索できるようにした「ナレッジ」を構築。個々の相談員の技術スキルランクの見える化と弱点強化のための「AVスキル一斉テスト」、自席にいながら製品知識を身につけられる「e-Learningシステム」を活用した自己学習ツールの展開なども行っている。

  • CS・環境推進部 お客様相談センター 東日本相談室 副参事 家永 裕子
    CS・環境推進部 お客様相談センター
    東日本相談室 副参事
    家永 裕子
  • CS・環境推進部 お客様相談センター 東日本相談室 企画室 係長 森川 亜紀子
    CS・環境推進部 お客様相談センター
    東日本相談室 企画室 係長
    森川 亜紀子

もうひとつの「応対力」は、どうやって均質なレベルを保つかが課題。そこで、各拠点のQC(クオリティ・コントロール)担当者に対する勉強会や音声チェック(モニタリング)などを行い、均質化を図ることで、全国にいる相談員のクオリティ管理を行っているという。

「QC担当者とは、月1回程度いくつかの拠点を集めたテレビ会議などを行うなど、密接な連携を取っています。また、過去の電話対応の様子を録音したものを聞いてもらい、何が問題だったか、良かった点はどこか、といった基準を確認し合う”耳あわせ”も定期的に行っています。その他、日本唯一の電話応対検定である『電話応対技能検定(もしもし検定)』を実施し、スキルアップを図っています。もしもし検定は受験前に15時間の研修を受講後、筆記試験と実技試験に合格すれば、ビジネス電話応対を行うためのコミュニケーション能力を有すると認められます」

と話すのは、お客様相談センター企画室・相談品質管理グループの森川亜紀子係長。応対力に関しては、どんなに立派なマニュアルがあってもお客様満足につながるとは限らない。マニュアル通りに丁寧になりすぎて、「回りくどくて時間がかかりすぎる」とお客様を怒らせてしまうこともあるらしい。そういった事例を避けるためにチェックシートなども作っているが、最終的には一人ひとりの相談員の心遣いが大切だという。

「昨年の震災後、東北地方のお客様に対して労いの言葉をかけた相談員のもとに、感激されたお客様からお手紙が届いたことがありました。その事例をみんなに紹介したところ『自分もやってみよう』という相談員が何人もあらわれました。そういった小さな情報共有が対応力アップにつながることもあるのです」(森川係長)

情報共有に役立つシステム、ツール開発を行う家永副参事も、これらのツールは技術スキルのためだけにあるのではないと話す。

「技術スキルと応対力、そしてこれらを運営する業務ルールをしっかり理解したうえで、できるだけ迅速に問題解決できるように努めるのが私たちの仕事です。今後、ネットワーク化などによりAV機器はますます複雑になるかもしれませんが、どんなお客様、どんな環境でもスピーディに問題解決に至るよう、これからも小さな工夫を積み重ねていきます」(家永副参事)

※掲載記事の内容および人物の所属・肩書きは、取材時点での情報です。組織変更や異動等により変更となる場合があります。