シャープお客様相談センターの相談員(オペレーター)たちは、シャープのアフターサービスを支える大黒柱と呼んでもいい存在で、日経ビジネス誌の「アフターサービス満足度ランキング」においても高く評価されてきた。
電話越しとはいえ、お客様と直接接する相談員の応対次第で、そのメーカーへの印象は大きく変わってしまう。また、お客様がお困りの状況をしっかりと把握し、修理担当者に正確に引き継げなければ、修理完了までに余計な日数を費やすことにもなる。目立たない存在ながら、相談員はサービスにおいてとても重要な部分を担っているのだ。
「電話オペレーターとしての経験を積んで、知識量が増えてくると、どうしてもお客様に対して説明をする”説明員”になりがちです。しかし、お客様に対しては相談にのるのが仕事ですから、彼らを”相談員”と呼ぶことに決めました。
相談員には『誰のため、何のためのサービスか』を常に意識して業務に取り組んでほしいと伝えています」とは、AQUOSを主とするAV機器の電話応対を総括する東日本相談室の西村元秀室長。シャープのお客様相談センターは、全国に複数の相談拠点があり、AV機器関連、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、電子辞書等の情報機器の電話相談にあたっている。電話を受けている相談員は様々だが、拠点場所に関係なく、すべての相談員が同じように高い応対力を発揮できるよう指導。製品知識や過去の情報を共有できる情報ツールを開発するなどして、常にブラッシュアップするよう努めている。
こうした努力の甲斐あり、2009年以来「アフターサービス満足度4年連続ナンバー1」を達成するほどに成長を遂げたシャープのお客様相談センター。お客様から感謝の手紙やメールを送られることも多く、相談員たちのモチベーションやスキルはますます高まっている。しかし、その一方で、お客様から信頼されすぎているが故に困ったこともあるのだという。
「お客様相談センターには『前回とても良くしてもらったから』と、名指しでお客様から相談を受ける相談員が少なからずいます。それ自体はとても喜ばしいことなのですが、お客様によっては何度もお答えしている使い方などを毎日のように電話を頂くことがあるのです。相談員たちはどのようなお客様にも親身に応対していますが、メーカーとしては本来、お問い合わせや修理のお電話はあってはいけないもの。そういったお電話をいただかなくてもいいような、分かりやすくて使いやすい製品でなければいけないのです。ですから、私たちとしても1度お電話をくださったお客様がその後はお一人で操作できるように、操作説明を基本に、丁寧な応対を心がけています」(西村室長)
西村室長は「CSには6つのCSがある」という。
それは以下の6つ。
「一見すると、コストセーブすることと顧客満足は相反するもののように見えますが、決してそうではありません。無駄を省こうとするからこそ、修理依頼から翌日には修理完了する仕組みを作ろう、ご相談いただかずに済む分かりやすい製品づくりをしようということに繋がる。この6つのCSのバランスを良く、常にお客様の求めるものの少し上を行くくらいのサービスを心がけています」(西村室長)
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