REPORT6 特別インタビュー 4年連続ナンバー1でもさらなる質の向上を目指す
日経ビジネス「アフターサポート満足度ランキング」4年連続No.1。高評価維持の秘密に迫る。
「アフターサービス」から「ビフォアサービス」へ
中川 潤子

まずは4年連続での日経ビジネス「アフターサービス満足度ランキング4品目1位獲得」について、シャープのカスタマーサポートを統轄するCS・環境推進本部の中川潤子副本部長に聞いた。

「私たちが考える”応対力”とは、一人ひとりのお客様としっかり向き合い、お客様のご要望について分かりやすくきちんとお応えすることです。今回の4年連続1位獲得は、そういった日々の積み重ねを評価されてのことだと思いますので、とても励みになりますし、同時にプレッシャーでもあります」(中川副本部長)

アフターサービス満足度ランキング4品目1位獲得に輝いた理由について、これまでの日経ビジネス誌面では”CSマイスター制度”や”修理の翌日完了”など、シャープ独自のサービスの取組みに焦点をあてて記載されていた。しかし、これらはいわば”目に見えるサービス”の部分。これらの取組みはもちろん、それ以上にお客様満足の評価につながるのは”目に見えない心遣い”なのだという。

  • CS・環境推進本部 副本部長 中川 潤子
    CS・環境推進本部 副本部長
    中川 潤子

「CSマイスターは制度として注目を集めましたが、お客様に喜んでいただけたのは彼らの臨機応変な対応やお客様のことをおもんばかる気持ちに対してであり、形や数値としては表せない感覚的な部分が大きいのです。最終的には”人間力”ともよべるもので、画一的な研修では身につけられるものではないだけに、教育するには大変難しいものがあります」(中川副本部長)

システムや研修制度が充実し、サービスに関わる技術、対応力ともに高いレベルに達したかに見えるが、お客様満足度を高める取組みはまだまだ十分ではないと話す中川副本部長。シャープのサービスはまだ進化を遂げようとしている。

新たな取組みのひとつとして、お客様相談センターの一角に「モニタールーム」を設置した。モニタールームはVOCS(Voice of Customer and Service)活動の一環としてスタートしたもので、モノづくりに関わる事業部の企画、技術、品質管理担当者が直接お客様の声に触れられる。お客様の声を直接聞くことで迷っていたことなどがクリアになり、次期製品作りにスピーディに活かせると、事業部のメンバーからは好評だ。

「5年ほど前からアフターサービスに関する仕組みや取組みを強化した結果、質の高いアフターサービスを提供するベースはできたと思います。そのベースのうえに新しく始めた数々の取組みもうまく機能するようになりましたので、最近ではさらに効率よく運営することなどを目標に、主にボトムアップの部分に力を入れています」(中川副本部長)

ボトムアップ中だというが、サービス拠点のフロント担当者の応対力向上のためのe-Learningツールの導入や、お客様相談センターでの電話応対力をさらに向上させるための技術力向上研修や故障診断ツールの開発など、現在もチャレンジし続ける姿勢に変わりはない。

さらに、将来に向けた”新しいサービス”のあり方を検討中。モノづくりや「SHARP i CLUB」との連携強化が、より一層のサービスの質の向上につながると中川副本部長はいう。「SHARP i CLUB」とは、シャープ製品のオーナーを対象とした会員サービス。自分が購入したシャープ製品を「MY家電管理」で登録しておけば、登録した製品に応じた情報検索ができるほか、24時間WEBを通じた修理依頼ができるなどのメリットがある。

「今後は、問合わせや修理依頼をいただかなくても済むように、ホームページや『SHARP i CLUB』を活用して、問題が起こる前にお客様へ色々な方法で効率よく情報をご提供していきたいと思います。また、お客様からいただいたご意見やご要望をマニュアルや製品の使い勝手に反映させるための活動もますます強化していきます。これからは”アフターサービス”ばかりでなく”ビフォアサービス”にも取組んでいきます」(中川副本部長)

※掲載記事の内容および人物の所属・肩書きは、取材時点での情報です。組織変更や異動等により変更となる場合があります。