REPORT2 特別インタビュー 「早い・確実」は当たり前 求めているのは「サービスの質」
依頼の電話から「翌日以内に修理完了」。この容易でない目標を実現するための仕組みづくり。
「翌日完了」が可能な仕組みづくり
中川 潤子

修理依頼を受けてから「翌日完了」を実現するカギとなっていたのは、意外にもお客様相談センターの相談員だった。一般的には電話を受けるだけの存在であるオペレーターが、なぜ修理のスピードと関わっているのか。その理由を、お客様相談センターやサービスマンの管理・運営を統括する、CS・環境推進本部の中川潤子副本部長に聞いた。

「大切なのは、修理依頼のお電話をいただいた時点で的確に故障箇所を聞き出し、故障内容を正確に把握することです。そうすれば必要な部品の発注などの準備をした上でお宅に伺うことができ、その場で修理できる精度が高くなります。しかし、家電製品のどこがどのように問題なのか、お客様から正しく説明していただくのは難しいことです。そこで、たとえばシニアのお客様や細かな説明が苦手なお客様からのお電話に対しては、少し年配でゆったりお話を聞くことができる専任の相談員をご用意しました。それだけでもお客様がリラックスしてお話できるようになり、状況把握もしやすくなりました」(中川副本部長)

サービスマンが自宅に修理に来ても、故障の原因を調べるだけで、後日部品を取り寄せてから再修理になることがある。しかも、部品の取り寄せに何日もかかれば、ますます修理に時間がかかってしまう。その点、相談員が電話を受けた時点で故障箇所を正確に把握できれば、修理依頼を受けたサービスマンは必要な部品をすぐに発注できる。翌朝には、各サービス拠点に必要な部品が全て届く仕組みになっているため、お客様の家に行ったらその場で修理が完了するのだ。

  • CS・環境推進本部 副本部長 中川 潤子
    CS・環境推進本部 副本部長
    中川 潤子
研修風景研修風景

「早さ」を含めCS(顧客満足)につながる「サービスの質」を模索するなか、たどり着いたのが「人」だった。修理を行うためには技術力を磨くことも重要だが、お客様と直接接する「対応力」が不可欠だと考え、マインド研修などを導入して対応力向上を目指した。

サービスマンの中でも特に技術力・応対力に優れたスタッフを認定する「CSマイスター」制度もその一つ。「CSマイスター」は、全国約100のサービス拠点のうちトップレベルのサービスマンだけが認定される特別な存在で、現在でも60人程度しかいない。シャープのサービス・サポートを象徴する存在だ。

「CSマイスターの認定を受けるには、上司の推薦を受けてマイスター講習を受けなければなりません。この講習では技術面についてはもちろん、法律や礼儀作法、茶道などの研修も受けますから、言葉づかいや所作などがホテルマンのようだと言われます。彼らの対応については、お客様から”満足した”というアンケートハガキをいただくことが多いです」(中川副本部長)

こうしたサポート・サービスはシャープが行っていることのごく一部で、CS・環境推進本部としても現状に満足しているわけではない。もっと上のサービス・サポートを目指し、日々バージョンアップさせている。

「お客様の声を聞く最前線にいる私たちは、修理やサポートだけをして終わりではありません。お客様からの声をもとに商品の質を高めるなど、お客様と一緒に製品作りができるような存在でありたい。CS・環境推進本部にはVOCS(Voice of Customer and Service)の担当部署があり、実際にお客様の声を反映させたもの作りも行われています」(中川副本部長)

※掲載記事の内容は、取材時点での情報です。ただし、人物の所属および肩書きについては2012年9月現在の情報です。組織変更や異動等により変更となる場合があります。