地球温暖化やエネルギー問題への対応は、世界共通の課題となっています。このため、自然エネルギーである太陽光を利用し、地球温暖化の原因となるCO2を発電時に排出しない太陽光発電への期待が世界的に高まっており、その需要は急拡大しています。 こうした中、シャープは、現在主流の結晶系太陽電池に加え、薄膜太陽電池の生産を強化し、太陽電池を液晶に次ぐ事業の柱にしていきます。 結晶系太陽電池は、薄膜太陽電池に比べて変換効率が高く、設置面積が限られる住宅向けなどの用途に適しています。一方、薄膜太陽電池は、高温下での変換効率の低下が結晶系に比べて少なく、高温地域における大規模発電システムなどの分野で需要拡大が期待されています。 シャープは、両方式の事業を展開することで、それぞれの地域のニーズに応じた太陽電池を供給し、グローバルでの普及拡大に努めていきます。 薄膜太陽電池の普及拡大のため、シャープは、長年培った独自の技術を活用し、さらなる変換効率の向上に取り組んでいます。 独自のノウハウを盛り込んだ製造装置(プラズマCVD装置)を用い、従来のタンデム型(アモルファスシリコンと微結晶シリコンの2層構造)に、さらにアモルファスシリコン層を加えたトリプル型薄膜太陽電池を開発しました。これにより、幅広い波長の光エネルギーを有効利用することができ、従来より高い変換効率を実現しました。 薄膜太陽電池の生産体制については、2008年10月に葛城工場の年間生産能力を15MWから160MWに増強します。さらに、大阪府堺市に展開する「21世紀型コンビナート」において、年間生産能力1,000MWまで拡張可能な新工場を建設し、第1次展開として480MWの生産体制を整え、2010年3月までに生産を開始する予定です。 新工場では、東京エレクトロン株式会社との共同開発による最先端のプラズマCVD装置を導入します。1,000mm×1,400mmの大型ガラス基板を採用するほか、独自ノウハウを駆使することで、生産効率が飛躍的に向上し、一層のコストダウンが可能となります。この新工場をモデル工場として、海外にも薄膜太陽電池工場を展開し、薄膜太陽電池のグローバル生産体制を構築していきます。 また、シャープは、太陽電池事業のさらなる拡大に向け、化合物半導体技術を応用した集光型太陽光発電システムや有機材料を用いた色素増感型太陽電池など新技術の開発のほか、太陽電池で発電した電力を蓄えるための蓄電池の開発にも取り組んでいます。